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ブラジルに人種差別は存在するか。

サッカー選手のダニエル・アウビスが、スペインでの試合の際に場内に投げられた
バナナを食べることで、人種差別にNoといった話は、ブラジルで大きな話題となった。

ブラジルは、南米の他の国と異なり、インディオ、白人、黒人の混血が進んでおり、
人種差別は少ないと何かの本で読んだことがある。

とはいえ、田舎に住んでいると、少なからず人種差別主義者に出くわすことがある。
私は、現在ブラジル北東部のレシフェにて、ブラジル人ばかりに囲まれてMBAを勉強している。
MBAというと、比較的教育水準の高い生徒が集まるものだと思うが、
そうではない場合もある。

私が通っているビジネススクールには、マウリシオというアメリカのコーネル大学
を卒業したという教授が居る。
彼は、ビジネススクールの教授だけでなく、コンサル会社のオーナーであり、
グローバルに活躍しており、中国などでも仕事で何度も言ったことがあるという。
それだけの経歴があれば、国際人としての素養を身に着けていて然るべきかと思うのだが、
残念ながら、とんでもない食わせ者であった。

彼の最初の授業の時に、私は日本人だという自己紹介をした。
そして、2回目の授業のある日に、廊下で彼とすれ違った時、
「あ、マウリシオ先生、こんにちは」と声を掛けると、
「よっ、シーナ!(中国)」と返してきた。

これには一瞬、相手が何を言っているのか理解ができなかったものである。
道端で「やーい、中国人!」と子供に言われることは大目にみることはできる。

しかし、かりにもアメリカでMBAも勉強した知識人でしょう?いきなり、「よっ、中国!」はないだと、
後々で怒りが込み上げてきたが、怒るタイミングを失ってしまった。

それだけなら、まだしも、マウリシオは、
授業中も、私に向かって、「ここにいる中国(シーナ)が、なんちゃらかんちゃら…」
と私をダシにクラスの笑いを取ろうとする。

頭に来たので、無視していると、
「何が起きているか分からないみたいだね(ポルトガル語が分かっていないのね)」
と言ってくる始末。

確かに、彼が言った下品なジョークは半分くらいしか意味が分からなかったが、
彼がどれだけ教育水準が低いかと言うことは分かった。
でも、その時は頭に血が上って、言い返すこともできなかった。

授業の後も、彼の無礼な態度で嫌な気分をひきずり、
ブラジル人が本当に嫌いになりそうになった。

時は夜中の10時。帰りのタクシーを拾おうとしたが、そういう時に限って
全然タクシーがつかまらない。

本当に今日は、ツイてないなーとため息をついて居ると、
隣にいたオバチャンが、大げさな身振りをしながら「タクシー!!」と
叫んだと思うと、いとも簡単にタクシーを捕まえてしまった。

「くそー、こちとら、10分も捕まえられずにいるのに…」と心の中で
ボヤいていると、そのオバチャンが、こちらに手招きして、
「これに乗りなさい」と言ってくれたのだ。

そう、オバチャンはタクシーを拾えないでいる見ず知らずの私のために
タクシーをとめてくれたのだ。
心が折れていた時だけに、その優しさが身に染みた。
捨てる神あれば拾う神ありとはこのことだ。

二週間後、再びMBAの授業のある日になった。

イタリア系移民のホッシーニと言う太った男がクラスメイトに居るのだが、
彼が、教室に入るなり、「おう、元気?シンギリンギ(※)?」と言ってきた。

※シンギリンギとは、「中国製の製品(価格は安いが、品質の悪いもの)」という意味。

おそらく、私の名前(シンゴ)とかけているのだろうが、
正直、物凄く不愉快である。

ホッシーニは余りにもさり気なく、シンギリンギと呼んできたので
「なにが、シンギリンギじゃ、このボケ!」と返す余裕もなく、
その場は特に何も言わずに終わってしまった。

その日は、新しい教授が授業をする日であり、いつものように
生徒がそれぞれ自己紹介をすることになった。
良い機会なので、私は次のような自己紹介をした。

「えー、私の名前はシンゴです。ダニエル・アウビスの件で見られるように
ブラジル人は、人種差別には反対しているようですが、どうやら実態は複雑で、
このクラスには私のことを、中国、中国人、シンギリンギと呼ぶ輩がいるのです。
しかし、私は日本で生まれ育ち、両親ともに日本人です。ちなみに、ブラジルに住んで2年弱です。」

一瞬、クラスが静まり返った。
「Você está bravo não é?(きみ、怒ってるのかい?)」とクラスメートが聞いてきた。
「ああ、そうさ、頭に来てるね」
と返したが、彼は、何で私がそんなに怒っているのか良くわかっていないみたいであった。

まあ、これだけ言っておけば、今後、私に向かってシンギリンギと呼んでくる輩も
いないだろうと溜飲を下げたのであった。

外国人と話したことがない者も多いので、デリカシーの無さは
大目に見てやるか、と思って、学校から帰る途中に海岸沿いを歩いていると、
自転車に乗ったオヤジが通り過ぎさま、クルッとこちらをみて、「ニーハオ」と言ってきた。

あ~、低能なオヤジだな~と心の中で蔑みつつ
とりあえず、眼を付けておいた。
ホントにブラジルの田舎に住むのは、たまに疲れるときがある。

ところで、ブラジル人は、日本人を見ると、「Japa(ジャッパ)」と言って来る。
それも、悪口ではなく、本人に面と向かって呼んでくる。
このジャッパというのは、言うまでもなく英語の「Jap」のポルトガル語版である。

ブラジル人は、「Jap」が戦時中に日本人を軽蔑するために
使用されていたといことを知らないで使っていると思われる。
というのも、仲良くなったブラジル人も親しみを込めて「ジャッパ」と呼んでくるからだ。

初めてジャッパと呼ばれた時は、驚きで舌を噛みそうになったものである。

来日したアメリカ人に対して、日本人が「鬼畜」とか「アメ公」とか
呼びかけているのを想像してみてください。

でも、最近は、もう慣れてしまったので、ジャッパと呼ばれても気にならなくなってしまった。
ブラジル人も悪意があって使っているわけではないようだし。


ところで、ブラジルでは、身体的特徴をあだ名にすることが珍しくない。
ブラジルに来て間もないころ、ブラジル人が友人を紹介するときに
「こいつはゴルジっていうんだ。」
と教えてくれたので、私も彼のことを「ゴルジ」と呼んでいた。
あとで分かったのだが、それはニックネームで、「デブ」という意味だったのだ。

他にも、禿げ頭、おかま野郎、やせっぽなど、というニックネームを聞いたことがある。
ブラジル人は、これらのニックネームを陰口ではなく、
本人に面と向かって呼びかける。
(ただし、仲が良いもの通しの間だけである)

まとまりのない文章になってしまったが、結論として、
ブラジルでも、少なからず、人種差別の雰囲気はあるようである。
それでも、それを補ってあまりあるほど、良い思いをすることもあるので、
総合的にみると、私はブラジルが大好きだ。
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レシフェの大手スーパー、衛生局より3日間の業務停止命令を受ける

ブラジルでは、スーパーのレジ前にある商品陳列棚に、
レジ待ちの客が買うのをやめて元に戻さなかった
商品が陳列(?)されているのをよく見かける。

ガムの陳列棚にパパイヤが置いてあるのはまだ良い方で、
冷凍ピザ、氷などの冷凍モノが常温エリアに放置されているのも見かけたことがある。

基本的なしつけがなされていない人も居るので、
冷凍庫のトビラを開けた後に閉めずに放置していく輩をしばしば目にする。

これでは、商品が外気で解凍されてしまう。
店員もあまり気にしていないようで、閉めようとしない。

トビラが半開きになっているのをみると、日本人の性分からか、
トビラを端から閉めて行きたい衝動に駆られ、実際にそうする。

まったく、無責任な奴もいるものだ。ブラジルのスーパーも大変だなー、と思っていたところ
実は、消費者よりもっと無責任なのはスーパーだったというのが分かった…。

3月末に、レシフェの某大手フランス系スーパーC社が衛生局より3日間の業務停止命令を受けたという。
主な理由は、冷凍食品の温度管理が適切でなかったことだ。

調査によると、電気代削減の為、夜中は冷凍庫の電気を切っていたというのだ。
レシフェは、熱帯地域に位置しており、冷凍庫の電源を切ったりしたら当然のように
かなり解凍が進んでしまう。

営業開始前には冷凍庫の電源を入れるのだろうが、
凍結・解凍を繰り返すとあっという間に食品の品質が劣化するというのを
頭から無視したスーパーの方針である。


しかも、調査を進めるうちに、C社だけではなく、
最大手のG社等でも同様のことが行われていたということが
芋づる式に判明した。


電気を大切にするC社の責任者には、
「ご自宅でも寝るときに冷蔵庫の電源を切っているのですか?」
という、いやらしい質問をしてみたい…

テーマ : ブラジル
ジャンル : 海外情報

親指と小指

レシフェの町中を車で走っていた時のこと、
信号待ちをしている時に、右側に停車した軽自動車から、
ヒゲをはやし、濃いサングラスをかけた、いかつい体格の男が窓から腕を出し、
険しい表情で、なにやらこちらに怒鳴りつけてくる。

ガラス越しなので、何を言っているのか良く分からなかったのだが、
男は握りこぶしの親指を下に向けて、攻撃的なジェスチャーをしてくる。
ものすごく挑発的だ…。
喧嘩を売られる覚えはなかったので、しばらく無視していたのだが、
男は執拗に訴えてくる。

後でわかったのだが、男は喧嘩を売っていたのではなくて、
車の右後部のタイヤの空気が抜けていると教えてくれていたのであった。
誤解も解けて、彼に感謝の意を示すと、今度は笑顔になり、
無言で親指を上に向けて去って行った。

―――

会社の同僚と量り売りレストランへ昼食に行った時のこと、
同僚の女性職員が、大きな身体に似合わず、
お皿に盛った量が少なかったので、理由を尋ねると、
彼女は「このためよ」、と言いながらピッと小指を突き立た。

最初は恋人ゲットのためかと思ったのだが、話を聞くうちに、
ブラジルで小指を立てるジェスチャーは、恋人ではなく、
マグリーニャ(痩せている人)を意味することということが分かった。

しかし、彼女は昼めしを減らした分、
おやつに大好きなチョコレートをせっせと食べてバランスを取っている(?)こともあって、
むしろ会うたびに一回り大きくなっているような気がする…

テーマ : ブラジル
ジャンル : 海外情報

デコラー・ショック

ブラジルでは、通常、1ヵ月の有給休暇が与えられる。
日本人サラリーマン的にはさすがに、1ヵ月も休むわけにもいかないが、
2週間ほど休みをもらって、ペルー・ボリビアへ旅行することに決めた。
まずは、TAM航空、LAN航空のサイトで航空券を調べるが、
首都のリマまでの航空券しかなく、希望していたクスコまでの航空券は
バラで買わなければならないようであった。
そこで、思い出したのが、ブラジルの大手格安旅行会社のデコラーというサイト。

このサイトは、目的地を指定すると、複数の航空会社の組み合わせから
最も安い航空券を探して、そのまま決済までできるという便利なサービスである。
調べてみると、レシフェからクスコまで、1,400レアル(約6.3万円)
の航空券があるではないか。
もう、迷うことなく、そこで買ってしまうことにした。

実際には税金とかなんだかんだ取られて、1,850レアル程度(約8.3万円)になったが、
無事に航空券をゲットできた。
eチケットもスムーズに発見され、そのまま旅行していれば何の問題もなかったはずだ。


…しかし、航空券を購入した際に、別の大切な用事を失念していたことに気が付き、
行きの日程を変えねばならなくなった。
帰りの便についても、ちょうどカーニバル休暇の始まる金曜日に
帰る便だったので、どうせだから、カーニバル休暇の終わる金曜日に帰る便に
変えちゃえということで、日程変更することにした。


デコラーのサイトで、新しい日程を検索したところ、
追加で400レアル(約1.8万円)支払えば予定変更できるようである。
変更申請処理をすると、48時間以内に連絡するから、ちょっと待てとの
メッセージが出た。
デコラーは仲介業者なので、ウェブサイトで即完結という訳にはいかないのだ。

ところが、48時間どころか、3日経っても何の連絡も来ないので、
不安になって、デコラーに電話で確認してみることにした。
ポルトガル語に不安があったので、事務の女性にお願いして、
電話してもらうことに。

電話してから、オペレーターが出てくるまで10分ほど待たされたらしい。
結局、オペレーターの説明は、
「貴殿の予約変更はちゃんと承っております。順調に手続きを進めております。
24時間以内に連絡致しますので、今しばらくお待ちください」
というものであった。

安心したような、そうでもないような気持ちで待っていると、
翌日、ちゃんとデコラーからメールが届いた。

「貴殿のクレジットカードが使用不可となっておりましたので、
予約変更できませんでした。つきましては、以下の番号まで電話してください。」


なぜ、最初買った時は普通にカードが通ったのに、
今回は、通らなかったのか?利用限度額はまだ余裕あるけど…。
とはいえ、電話せざるを得なかったので、また同じ事務の女性に
電話してもらうようお願いしたところ、何となく、面倒くさそうな感じが
声音に出ているのを、なだめつつ、すかせつつ、電話してもらった。
その時は、会社の先輩に頼み込んで、クレジットカードの名義を貸してもらった。

で、また電話し、新しいクレジットカード番号を伝えたところ、
「確かに新しいカード番号を拝受いたしました。
つきましては、24時間以内に連絡しますので、お待ちください。」

ホント、何度も待たせる会社だよな…と、少し苛立ちながらも、
他に方法がないため、翌日まで待った。
すると、デコラーからメールが届いた。
「貴殿のクレジットカードが使用不可となっておりましたので、
予約変更できませんでした。つきましては、以下の番号まで電話してください。」
前回とまったく同じメッセージ…

しかも、なぜか同じメールが3回も送られてきた。

完全にもてあそばれている…。
しかも、最初からクレジットカードが使用不可であったなら、
いいかげん、デコラー以外の会社での購入を検討したのだが、
最初の購入は無事にできているので、もう逃げようもない…。

結局、スケジュールの変更はできないのか…と
半分諦めかけていたところ、突然、デコラーから電話が掛かってきた。
電波が悪く、ちょっと聞こえづらかったのだが、オペレーターが言うには、
「セニョール、日程変更承りました。
ところで、日程変更したところ……ブツ…1820レアルになりました。
これで日程変更してしまっても構いませんでしょうか?」

オッ、カーニバルの時期を外したことで、安くなったのかな?
と思い、「うん、構わんよ。」と答えてしばらくすると、
早速、新しい旅程とe-チケットが送られてきた。

日程変更したのに、安くなっただなんて、トクしたなあ、
とルンルンしていたのも数日の間であった。

「ん?ところで、クレジットカードは使用不可だって、あれほど言ってたのは
どうなったのかな?それに安くなった分の差額はどうなるのか?」
と思い、デコラーのサイトにログインしてみると、日程が変更前のものから
変わっていなかった。

無事に変更できているのか、不安になり、念のため、もう一度
デコラーに電話してみた。
事務の女性は、今度こそ嫌な顔をしそうだったので、
自力で電話して解決を図る。
結局、かなり待たされた挙句、日程は無事に変更できていることは確認できた。
デコラーのサイトは、変更が更新されていないだけなのだという。

これで、終われば、くたびれただけの話なのだが、残念ながら、ここで終わりではない。
後日、クレジットカードの利用明細を見ていると、驚くべきことに、
1,820レアルが引かれているではないか。
もちろん、当初購入時の1,850レアルも引かれている。
すなわち、合計で3,670レアル(16.5万円)がカードから引かれているのである。

勘弁してくれよ~と思ったのは言うまでもない。
あんにゃろ、間違えて二重で引き落とししやがったな、
ただじゃおかねえぞ!と鼻息をフー、フーさせながら、デコラーに電話してみた。

オペレーターの説明によると、
「それは二重払いではござんせん、変更手数料が175レアル、
航空券の差額料金1,645レアルでござんす。」

な、なぬ~~!??それって、初耳!!


ちょっと、血の気が引いた。
あれ、もしかして、この間の電話、「1820レアルになりました…」
ぢゃなくて、「1820レアル、(余計に(ボソッ))になりました…」って
そういうこと~!??ヤダー!!

もう、デコラーのミスで二重引き落とししやがったと
頭から決め込んでいただけに、その説明はにわかには信じがたかった。
なんで、そんな重要なコトを電話で決めてしまうのかネ
と、フツフツとした怒りとやるせなさにさいなまれた。

だが、後々になって考えてみると、結局自分が甘かったのだネと気が付いた。
1820レアルになったという電話があったとき、てっきり安くなったと
勘違いしたのだが、過信せずに、誰か近くのブラジル人に代わってもらって、
念を押して確認すべきであったと思う。

変更料が、1820レアルというのも、当初の1850レアルと近似していて
非常に紛らわしい。

航空券が2倍近く跳ね上がったのは、カーニバルの時期と重なったことも理由であろう。
カーニバルは、水曜日に終わりで、私の便は木曜日発のものなのだが、
木曜日は、まだカーニバルの影響があるみたいなのだ。

色々な要素と、自分の甘さが重なって、クスコまでのチケットが16万円まで
跳ね上がってしまった。
日本からハイシーズンのヨーロッパに行くと思えばよいのだろうが、
コレ、結構、悔しい。
当日はヤケ酒をあおって、嘆きに嘆いたものの、
3日くらい経ったら、わりに悔しさは忘れてしまった。
人の心ってうまく創られてる。

教訓:
ブラジルでは、日本のように何でも自力でやるのが経済的という訳ではなく、業者(デスパシャンチ)を通す方が経済的であるケースもある。特に、日本の常識が通じないような局面では、自力で頑張って精神を擦り減らすよりも、業者(デスパシャンチ)に手数料を支払った方が、良い場合もある。逆に言えば、デスパシャンチの存在意義があるように社会が作られているともいえる。

踊り狂うまで分かり合えないぜ

この間、町を流れるサンフランシスコ川の1日クルージング・ツアーに日本人3名で参加した。
クルージングといっても、大層なものではなく、古ぼけた船に乗せられ、
ビールを飲みながら、川の上流にある島まで言って淡水浴をするというものだ。
丸1日のツアーで、参加費用は1500円程度。

船が動き出して、司会の男がマイクを片手にツアー内容の説明を始めた。

「実は、みなさんに残念なお知らせがあります……」


…と謝罪の言葉で始まった男の説明は、何のことはない、
スピーカーの調子が悪くて、音楽が大音量でかけられないということであった。

ブラジル、特にノルデスチ(北東部)のブラジル人は
とにかく、フォークソングを大音量で垂れ流すのが大好きである。
ノルデスチで良く見かけるのが、車の後ろに巨大なスピーカーを積んで、
これでもかというくらいの大音量で賑やかな音楽を流す輩もいる。

日本でいうと、右翼の宣伝カーみたいなものと考えてもらえれば
大体想像がつくと思う。
右翼は、ちょっと我慢していればどこかへ行ってしまうから、まだいいけれど、
ブラジルのステレオカーは、アパートの目の前に止まって、そこでビールとか
飲み始めるから相当始末が悪い。

しかも、キャツらときたら、夜中の12時を回っても平気で
大音量を垂れ流しくさる。
ナポレオンの辞書に「不可能」という言葉がなかったように
「近所迷惑」という言葉は彼らの辞書にないことは疑うべくもない。

我が社の従業員にも、ステレオカーを持っているヤツが居るので、
一体、いくらぐらい投資したのか聞いてみた。

「まあ、中古だからそんなに高くないよ、3000レアルくらいさ(約13万円)」

3000レアルといったら、工場の工員さんの給料4ヶ月分くらいである。
かれらの「大音量」にかける執念は凄まじいものがある。


……で、クルージングに話を戻す。
ブラジル人にとっては残念なことに、日本人にとっては幸いなことに
ステレオの調子が悪いとのことで、しばらく、わりに静かに話をすることができた。

…と思ったのもつかの間、ステレオが直ったようで、
急に大音量の音楽が流れ始めた。
と同時に、ブラジル人の乗客からは歓喜の声と拍手喝采が沸き起こった。

その大音量たるや、まともに話ができないくらいである。
いきおい、話をするにしても叫ぶようにして声を張り上げなければならず、
疲れてしまうので、もう話をしようという気も起らなくなる。

そのうちに、再びステレオの調子が悪くなると、
乗客からは非難のシュプレヒコールが巻き起こった。
我々日本人からすると、調子が悪いくらいの音量が調子が良いのだが、
ブラジル人にとっては許せないらしい。



そうこうするうちに、船は草木が全くない中州に到着した。

「えっ??島って、コレ??」

っと思わず疑ってしまうほど、何もない中州であった。
あるものは砂だけである。

ギラギラの太陽を遮るものは何一つなく、
川の中に、砂の丘がヒョコッと頭を出しているだけなのである。

ブラジル人たちは、水着になって、嬉しそうに中州に出て行った。
そこにパラソルと椅子を出して、ビールを飲むのだ。

結局、その中州に3時間程度滞在したのだけど、
暑すぎて、とても降りる気になれなかったので、
我々日本人は、船の中でビールと食事をとって、
のんびりした時間を過ごした。

あれほどの暑い太陽の下で、よく楽しそうに遊べるよなあ…と
思ったものであるが、ブラジル人にしてみたら、
この日本人は、3時間の間、ずぅーっと船内に居て、
何しにきやがったんだ?頭おかしいのかしら?
と思っただろう。
まあ、そういう意味では、どっちもどっちですな。

結局、中州で3時間過ごしてから、夕暮れ近くになって、
船は来た道を戻った。

中州でアルコールが入ったからか、乗客のブラジル人は
往路以上に陽気である。

彼らは、大音量の音楽に合わせて、ビールを入れるクーラーボックスをボコボコ叩いて
リズムを取りながら、歌いだした。

10人くらいの家族連れが居たのだが、
彼らが、そのうち、音楽に酔い初めて、歌い声もいつしか大合唱になった。

「よし、ここいらで、ちとオジサンが剣の舞でもお披露目致そうか」
とでも言わんばかりに立ち上がって、きりきり舞いに踊り始めた。

それに応えて「いいぞ!いいぞ!やれやれ!」とヤジを飛ばすブラジル人。

「なによ、そのヘッポコ踊りは!!へそで茶が湧かせるわよ!
あたいが、本当の踊りを見せたげるわ!」とでも言わんばかりに
ブクブクに太っているが、「なんか文句ある?」という感じでビキニを着たオバちゃんが
オジさんに対抗して腰をぐるぐる振りはじめた。

それに応えて「いいぞ!いいぞ!やれやれ!」とヤジを飛ばすブラジル人。


「もう黙っとれん、わしにも躍らせろ!」
「なんの、あたいもよ!」

と、船内は乱戦状態に…

最初の内は、馬鹿騒ぎするブラジル人を遠巻きで眺めていたのだが、
そのうちに、我々の座っている場所にまで踊りの一団はやってきた。

彼らは、もう気が狂ったかのように輪を作って踊り狂った。

私は「やれやれだぜ…」と遠巻きにしてクールに見ていたのであるが、
そのうちに、ブラジル人らから、お前も見てないで踊れと誘ってきた。
最初は遠慮していたが、どうも、もう断れる雰囲気ではなかったので、
理性を忘れて、私も腰を振ることにした。

すると、私の踊りに合わせて若い女が目の前で腰をクネクネふりはじめた。
それは、映画で見たストリップ・ダンサーのようなセクシーな踊りである。
もう、あれは人間ではない、誤解を恐れずに言えば、…メスだ。


汗だくになって、踊り狂った後は、何とも言えぬ爽快感を味わえた。
そして、船に乗っていたブラジル人と物凄く仲良くなれたような気がした。
それまでは分かり合えずにいたブラジル人と初めて分かり合えた気がした一瞬であった。

ブラジルに来たときは、是非、理性を忘れて踊り狂ってみてください。





プロフィール

shingo

Author:shingo
ブラジル、ペルナンブッコ州在住、
三十路男のブログです。

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