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ブラジルでMBAを取得する件 その1

田舎で仕事をする場合に、どのような問題があるか。
一般的に考えられるのは、週末に行く場所がない、買い物が不便などである。
しかし、それらの問題は慣れてしまえば何とかなるものである。
そんなことより、最も重要なことは、田舎には知的刺激が少ないということである。
私の勤務するペトロリーナは、ペルナンブッコ州の奥地にある乾燥地帯の田舎であり、
比較的のんびりした人が多い。今までの社会人生活を東京で過ごして来たが、
求めなくとも優秀な人が周りに居て、自分も頑張らねばという刺激を受ける
素晴らしい環境にあったことに今更ながら感謝する。
東京と比べるのはナンセンスだけれど、ここでは、そういう刺激は皆無に等しい。
到着して早々は、その差に絶望し、貴重な30代前半をあたら無駄にする選択を
してしまったかと悩んだものであるが、月日が経過すると、
いつのまにかその環境に染まってしまい、
わりに気にならなくなっている自分を発見して、また、絶望したものである。
ここで腐ってしまわないため、あらゆる手段を考え、
自分に鞭打って勉強していかねばならないのだ。

一つの手段として考えたのが、当地でのMBAコースへの参加である。
MBAコースに参加すれば、勉強せざるを得ない環境に自分を追い込むことができるし、
わりに向上心のあるであろうブラジル人とも付き合うことができると考えたのだ。
とはいえ、近くにはそのような環境がなく、州都のレシーフェか、
バイーア州の州都サルバドールへ行かねばならない。
どちらも飛行機で1時間、往復2万円くらいの場所に位置している。
最初にこの案を思いついたときは、「飛行機で通学」というのは
相当現実離れしているなと思ったので、その時点で直ぐに諦めてしまった。

その間も、自分の現在置かれた環境に懊悩し、あがいた時期が続いた。
特に、サンパウロに出張で行ったときには、これが同じ国かと思うくらい文明に隔世の間を感じ、
そこに暮らすブラジル人も洗練されているように感じ、大変な刺激を受けた。
環境の違いに、出張から帰った後の一週間は軽い鬱に悩まされたものである。

とはいえ、しばらくすると、また田舎のノンビリした雰囲気に染まってきて、
「ハッ、このままではイカン」とふと気づくのを繰り返すのであった。
この時期は感情の浮き沈みが激しかったように思う。
今では、田舎で歯を噛みしめながら精一杯やったことは必ず報われるだろうと、
長期的なスパンで考えられるようになった。

閑話休題。回り道をしたが、やはり、この閉塞感を打開するには
学術機関で勉強するのが良いのではないかという考えに回帰し、
MBAについて真剣に考えることにした。まずは、いくつかの学校から資料をメールで取り寄せた。遠方に住む者にとって都合が良いことに、ブラジルのMBAは、
隔週で金曜日の夜、土曜日丸一日に集中的に勉強するコースがあることが分かった。
これなら、月に2回、サルバドールかレシーフェに行けば良いので、
1ヵ月の交通費を4万円くらいに抑えて、MBAを学ぶことができる。

まずは、当地から最も近いサルバドールの学校を検討した。サルバドールなら、
語学学校に通っていた時の知り合いも大勢いるので、
空いている時間は彼らと会うこともできる。
ブラジルには、FGVという全国的にネットワークを有する教育機関があるのだが、
何人かのブラジル人にヒアリングしたところ、
わりに信頼のできる機関という評価を得たので、サルバドールのFGVへの申し込みを検討した。
各種資料請求をしたところ、担当者のEさんから直ぐに返事が返ってきた。
Eさんは、メールでの質問に直ぐに返事をくれたので、最初の印象は良かった。
ちょっと、メールがあっさりとしすぎている感はあるが、最初のうちは特に気にならなかった。
選択肢もあまりないので、まあ、ここで良いかなと、とりあえず申込書と英文卒業証明書、
身分証明書などをメールで送った。

ブラジル、特にノルデステに住んだことがある人であれば分かっていただけると思うが、
ノルデステの辞書には「順調」という単語はなく、
ここでは「順調」に進むことはそれだけで奇跡と言っても過言ではない。

そう、必ず一つは障害が発生するのだ。
今回も御多分に洩れず、問題が発生した。
入学に当たって、卒業証明書が必要なので、日本の大学に英文証明書と
学歴証明書を依頼したのだが、これらの証明書について、ポルトガル語への翻訳が必要だ
と言ってきたのだ。

仮にもFGVを冠するビジネス・スクールがなぜ英文の卒業証明を受理できないのかと
納得行かなかったが、ごねてもしょうがないので、サンパウロの認定翻訳企業に
200レアルほど払い、公証翻訳をしてもらい、FGVに提出した。
内心、こんな中学校レベルの英文卒業証明書を翻訳しろと言って来るFGVに呆れたが、
決まりは決まり。お上の決めたことはどうあがいても変えられないのです。
まあ、ビューロクラシーはブラジルの代名詞と言われているから仕方がなかろう。

ポルトガル語の卒業証明書を提出して、しばらくした後、
担当のEさんから連絡があり、驚愕の事実を突き付けられた。
Eさんは、いつものあっさりした調子で、「この卒業証明書はDiplomaとして認められません」
と言ってきたのだ。「ナヌーッ!???」

心の底から「何をいやがる、コノヤロー」という怒りがメラメラ湧きつつも、
心頭滅却し、「それはどういうことでござんしょ?」と丁寧に応対した。
Eさんの返信によると、この卒業証明書には、「Certificate」と書いてあり、
「Diploma」と書いていないので、これはDiplomaではありませんと言い張るのだ。
それも、いつもの通り、至極あっさりとした調子で事実を淡々と述べる。

書いてある内容を読めば所謂「Diploma」であることは明瞭なのだが、
Eさんは相当頭が固いのか、「受理できない」の一点張りだ。
「Certificate」が問題ならば、最初に英文卒業証明書を提出したときに、
その旨言ってもらえればその時点で諦めたのだが、失った時間と金は戻ってこない。

既にちゃぶ台をひっくりかえす寸前まで怒りのマグマはこみあげていたのだが、
Eさんに怒りをぶつけても事態は何も変化しないことは火を見るよりも明らかであったので、
そこはグッと怒りを飲み込んだのであった。結局、私のポルトガル語の卒業証明書は
Diplomaとして認められないため、入学を断念せざるを得なかった。

サルバドールの学校とのごたごたがあって、意気消沈した私はMBAを一先ず断念した。
というより、Diploma問題でやる気を大幅に削がれてしまったのだ。
それから1ヵ月くらい経過して、傷も癒えた頃、せっかく勉強しようと決めたのだから
諦めずに別の学校でMBAにチャレンジしてみようという気持ちがムラムラと湧き起ってきた。
調べてみると、レシーフェにもFGVがあることが分かった。

こちらは、月に1回、金~日曜日に集中して勉強するコースであり、
交通費をさらに節約することができる。
遠方に住む自分にとっては至極ありがたい。
早速、インターネットで資料請求するものの、待てど暮らせど一向に返事が来ない。
何かの手違いがあって、資料請求がうまく行っていなかったかと思い、もう一度、
資料請求をしてみた。

数日後、会社に電話が掛かってきて、電話を取った人によると、
どこかの学校からかかってきているという。

「おー、やっと連絡が来たか。」と思って、
電話に出ると、受話器の向こうからはサルバドールのFGVですが…と言ってきた。
しばらく、事情が飲みこめなかった。

「はて…、資料請求をしたのはレシーフェのFGVだったはずだがな…」と思いつつ、
話を聞いてみると、受話器の向こうに居たのはサルバドールFGVのEさんであったのだ。
Eさんの説明によると、前回私が申し込んでいたMBAコースは人が集まらなかったため、
開講日が1ヵ月延期になったらしい。「もし良かったらいかがですか?」と営業するEさん。

「しかし、あれですね。私の卒業証明書はDiplomaとして認められないんですよねえ?」
と尋ねると、本部で審査してみますということであった。
サルバドールのFGVに関しては自分の中で既に完全に成仏していたので、
無論、丁重にお断りさせて頂いた。

一方の、レシーフェFGVからは何の連絡も来ないので、しびれを切らせてしまい、
こちらから電話してみることにした。

電話口に出たJさんは感じの良い人で、
コース内容について事細かに説明してくれた。
「上司にも説明したいので、メールで資料送ってもらえますか?」とお願いすると、
Jさんは「ええ、もちろんですとも。直ぐにおくりますからね」と快諾してくれた。

しかし、それから数日が経過したが、資料は送られてこなかった…。
そういう無責任なことはここでは良く起こるので、あまり気にせず、もう一度電話してみた。

「ああ、そうでしたね、資料でしたね。ええ、もちろん、直ぐに送りますよ。ええっと、メールアドレス教えてもらってもいいですか?」とJさんは言ってきた。
勿論、メールアドレスは前回確かに伝えているのだけど、
何度も同じことを聞かれることにももう慣れている。

それから数日が経過したが、資料は送られてこなかった。

そこで、私は一つの結論に至った。



「こんな学校、駄目だ…。」


こうして、しばらくの間、またMBAコースのことを忘れる日々が続いた。

(つづく)
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プロフィール

shingo

Author:shingo
ブラジル、ペルナンブッコ州在住、
三十路男のブログです。

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