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ギックリ&デンギ

7月の初旬は色々と用事が立て込んでいたため、
スポーツジムへ行けない日々が続いた。

10日ぶりくらいにジムに行くことが出来たある土曜日、
「よーし、今日は今まで行けなかった分、気合い入れちゃお~」
と腕まくりして普段は10分くらいしか走らないのを30分くらい走ったり、
筋肉が切れそうになるくらい、みっちりと体に鞭を打った。

朝から、ヘトヘトになるほど鍛えこんだあと、
家に帰ると愛車に鳥のフンがべっとりくっ付いているのが目についた。
わがアパートには黄色いカナリアのつがいが住みついていて、
毎朝、仲よくチュンチュンやっているのがとても可愛らしいのだが、
私の車のバックミラーがお気に入りで、どうやら
そこを便所と持ち主に断わりなく勝手に決めたらしく、
バックミラーが鳥のフンでべちょべちょになっていたのだ。

「よーし、今日は朝から気分よく筋トレもしたし、この勢いで洗車もしちゃお」
とバケツに水を入れて、鼻歌交じりで洗車を始めた。
15分ほどかけて、車をピッカピカに磨き上げる。

洗車するときって、かがんだり立ち上がったりという動作を繰り返すけど、
洗車が終わりかけた時になって、腰に鈍い痛みが走り、思わず「ンぬはァー」と
変な声が出てしまった。

最初は筋肉痛かと思ったけど、徐々に痛みは増してきて、
疑いは確信に変わってきた。
「ああ~こりゃギックリ腰だ」


なにも、これが初めてではない。
今までも4~5回くらいなっている。
運動不足の時に激しい運動をすると、なるのだ。
でも、たかだか筋トレでなったのは初めてだ。

2~3時間したら、痛みで歩くのも困難になってきた。
座っていると少し楽なのだが、立ち上がると腰が真っ直ぐにならない。
おじいちゃんのようにくの字型になって歩かないととっても歩けたものではない。
ギックリ腰になるたびに、腰ってめっちゃ大事なんやな~と改めて思う。

くの字型になって歩けたときはまだ良い。
暫くするとそれすら困難になる。
すこし動かしただけで、稲妻のような激痛が走るのだ。

腰は痛いが、その他はいたって健康なので、
腹は減るし、おしっこだってしたい。
でも、動けない。

そこで、編み出した技は、必殺「イスにつかまってカタカタの術」であった。
これは、イスにはキャスターがついているので、これにつかまりながら、
なるべく、腰に振動を与えずに、足のスライドのみで移動する術なのだ。
カタカタというのは、床がタイル張りになっていて、動くとキャスターが
カタカタいうので、その名を取った。
その姿は見るも無残であるのは、言うまでもないだろう。

とはいえ、この必殺技も腰への衝撃をゼロにするわけにはいかず、
少しでも腰が動くと、思わず「んガー」という叫び声が漏れてしまうような激痛が走った。
こりゃあかん、もう寝てるしかないわ、と思い、横になるが
横になっても、それほど楽にならない。
寝返りを打つのには、相当慎重にならねばならず、冗談ではなく5分を要した。

夜中に目が覚め、「おしっこしたいな~」と思うが、動くと痛いので、
我慢して寝ることにした。とはいえ、尿意はさらず、その後も何度も目が覚めた。
このままでは埒があかぬな!と、おしっこをする決意を固めた。

まずは、時計の針のように腰を中心として体を移動させる。
ここまでは痛みもなく、オッケー。
そんでもって、まずは膝からしたをベッドの下にぶらりと下げる。
その時の衝撃で腰への大打撃をくらう。思わず、「キャー」と声が漏れる。
脂汗を流しつつも、お尻を床にずらす。
壁につかまりながら立ち上がり、くの字になりながら、トイレまでの2mを移動する。
ベッドに戻る時も同じような作業が必要となる。
小便をするのに10分かかり、著しく体力を消耗する。
めっちゃ運動した気になる。
小便排出の爽快感と相まって、その後はぐっすり眠れた。
人間の体って良くできているもので、その日は無意識に寝返りしたりしなかった。
無造作に寝返りなんかしようものなら、激痛で失神してしまうだろうけれど、
身体もそれを知ってか、私に断わりなく寝返りをすることはなかった。

ここまでひどい状態は2日間で終わったけど、結局2日間会社を休んでしまった。
仕事に復帰してからも、しばらくはおじいちゃん歩きだったので、
会社の同僚に心配されたり笑いものにされたものだ。

さて、ギックリ腰がなおった週の日曜日の夜、
すこし肌寒いなか外に小一時間いたためか、少し喉の痛みを感じた。
(ブラジルは今、冬です!)

ああ~まずいなぁ、風邪は嫌だな~とおもいつつ、
プロポリスをシュッと喉にかけて、早めに眠りについた。
その夜は、腹痛と吐き気で何度か目が覚めた。

翌朝起きると、腹痛と吐き気は続いており、熱のため体がだるい。
結局、風邪を引いてしまったのだ。
熱が結構高く、だるいだけではなく、頭が全然働かない。
食欲もないし、下痢のため、トイレに何度も行く羽目になった。

ギックリ腰に続いて、申し訳なかったが、またもや会社を休ませてもらうことにした。
翌日、様子を見に来た上司が、病院に行くことを勧めてくれた。
自慢じゃないけど、風邪くらいで病院に行ったことは一度もないので、
何度か固辞したが、上司も譲らないので、ここは折れて病院に行くことにした。

私が病院に行くのを嫌がった理由としては、
ブラジルの病院はとにかく待たされると聞いていたし、
どうせ、薬を処方されるだけだろうと思っていたからだ。
病院で、フラフラになりながら待たされるよりは、家で寝てたい。

ところが、意に反して、私が行った病院は受け付けから10分くらいで呼んでくれた。
しかも、先生は可愛らしい女医さんだった。
とりあえず、症状を話すと、ベッドに寝るように指示された。
腹を出せというので、シャツをめくると、女医さんは
ひんやりとした指でわたしの腹を押さえ始めた。そして、私に痛むか?と尋ねる。
「痛む」と答える私。

すると、女医さんは、「デング熱(ポルトガル語ではデンギ)かもしれないわね。」
という。えっ、デング熱って、本では読んだことあるけど、俺が?デンゲ?

その後、左腕から血液を採取され、右腕にブスゥッと太い針を刺された。
「なにをしやがる」と思ったら、なんのことはない、点滴だった。
点滴なんて、22歳の時にインドのラジャスターンで謎の病気にかかったとき以来の
人生2度目の経験である。
(謎の病気とは、高熱、吐き気、下痢で身動き取れず、かつ、気持ち悪すぎて
寝ることもできないという恐ろしい病気)

点滴って、全部入るまでに結構時間がかかるものである。
点滴している間、しばし、まどろむzzzz。





……目が覚めると、なんとも言えず、調子が良い。
なんか、点滴が「ズギューン」と効いた感じだ。
聞くところによると、ブラジルでは点滴に
抗生物質をガンガン入れるので、このように即効性があるらしい。
上司の勧めに従って病院に来て本当に良かったと思う。

その日は家に帰り、とにかく眠った。
翌日は、驚くほど快調で、改めて点滴と抗生物質のスゴさを実感したのであった。
結局デング熱ではなかったということだ。

この点滴、血液検査、医師の診察は全て無料である。
正確に言えば、UNIMEDという健康保険に入っていて、月々7千円ほど会社が支払っているのだが、
個人負担なしで、ここまでやってくれるならば、次からは風邪を引いたら
真っ先に病院へ行こうと思うのであった。












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シワワ~

ブラジル人の知り合いに相撲取りの曙のように、
体重120kg以上はあるかと思われる巨漢がいる。

かれのポッコリとしたお腹を見ると、グリム童話の
「オオカミと七匹の子ヤギ」で、オオカミが子ヤギを
六匹平らげたのを思い出してしまう。

六匹はないにしても、真剣な話、一匹くらいは
ヤギが潜んでいるのではないかと思う。

ブラジルのノルデステ(東北)地方の料理は
高カロリーで、塩や砂糖がこれでもかというくらいに入っているので、
20歳の時にスラッとしていた人の大半が30歳代になると、1.3~1.5倍の
容量になってしまうのだ。

ブラジルで彼女を探すのであれば、お母さんと会った方が良いと言われる。
20歳代の頃はスタイルが良かったとしても、その20年後は物凄く太っていて、
見る影もなくなってしまうから、というのが理由のようだ。
遺伝の影響もあるだろうけど、両親が食事に無頓着な家庭では
子供も、ものすごい不健康な食習慣を身に着けている可能が高い。


知り合いの運転免許証を見せてもらった時、正直それが
同一人物だとは信じられなかった。
今でこそ相撲取りのような体形だが、その写真には
ジョージ・クルーニーを彷彿とさせる、ナイスガイが写っていた。


前に、彼が室内犬についての話で数人のブラジル人と盛り上がっていた。
その時、相撲取りのような彼がケンドーコバヤシばりの野太い声で「シワワ~」と叫んだ。

ポルトガル語では「ch」を「シ」と発音する。
ああ~「chiwawa(チワワ)」のことね、と理解するまでに、0.1秒も要しなかったが、
南洲翁のような巨漢の彼から発せられた言葉に、くすっと笑えた瞬間であった。




プロフィール

shingo

Author:shingo
ブラジル、ペルナンブッコ州在住、
三十路男のブログです。

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